「新NISAでは低コストな全世界株式のインデックス型投信だけを買えばいい」。金融機関側の利益が大きすぎるものは決して推さなかった(撮影/小山幸佑)

「金融商品や経済業界に厳しく、『悪いモノ・コト』は容赦なく斬るという立ち位置での競争力をキープしようと考えて、やってきました。業界ウケは悪くてもポジションはある。自分と家族が食べる分ぐらいは稼げるだろうと」

 自身のプロモーション戦略のように聞こえるが、辛口評論家の土台は元来持っている正義感によるものが大きいと筆者は感じた。

 不正や、理屈に合わないことを嫌う性格。そこにフリーランスとして生きていくための「戦略」が刺さり、「山崎元」は多くの人に支持される経済評論家になった。

 では、初心者向けの資産形成について、「山崎節」を聞いてみよう。

「初心者と富裕層で適切な運用商品は違うようなイメージがありますね。でも効率のいい商品があれば富裕層も欲しがるし、初心者もそれを買えばいい。

違うのは投資する金額とリスクの大きさだけ。若い人にはこれがいい、退職者にはこれがいい、などと年齢によって変わることもありません」

成長投資枠はつみたて投資枠と同じものを

 痛快である。2024年1月開始の新しいNISAについても釘を刺した。

「成長投資枠ではつみたて投資枠と同じものを買えばいい。区分の名前が違うからといって違う投資をする必要はありません」

 資産のうち「守り」をコア、「攻め」をサテライトとした資産配分を勧める専門家は少なくないが、これにも否定的だ。

「低コストな全世界株式のインデックス型投信だけを買えばいい。サテライト投資は不要。コアがなぜコアなのかを考えたら、理由がわかるはずです」

「予想」と「希望」を混同してはいけない、とも強調した。「毎月の投資可能額とリタイア時の必要資産からリターン目標はこれぐらい、そのための金融商品はコレ」などの資産形成プランをよく見かけるが……。

「リスクを見ず、希望リターンで資産配分を決めているだけ。ファイナンシャルプランナーがよくやるアドバイスです。

40歳で年収600万円、貯金1000万円などというもっともらしい数字をもとに円グラフを作って。年齢や収入、貯金残高で最適な資産配分が決まるわけがないでしょう」

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