炎をあげて燃えるJAL機

 東京・羽田空港の滑走路で日本航空(JAL)の旅客機と海上保安庁の航空機(以下、海保機)が2日、衝突、炎上し、5人が亡くなった。なぜ事故は起きたのか。

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「通常業務では起こり得ないこと。一体どうして……」

 海上保安庁の関係者はそう肩を落とす。

 2日午後6時ごろ、東京都大田区の羽田空港C滑走路でJALの旅客機が滑走路に着陸した直後、海上保安庁の航空機と衝突し炎上する事故が起きた。

 炎上したのは新千歳空港を出発した516便で、乗客乗員計379人のうち十数人が打撲などの怪我や体調不良を起こしたものの、命に別状はないという。

 一方で、海保機に乗っていた乗組員6人のうち、5人が死亡し、機長が大けがをした。海保機は1日に起きた震度7の能登半島地震の対応で、支援物資の搬送のため新潟に向かう予定だったという。

 前出の海保関係者が言う。

「大災害が起きれば、我々は被災地の支援に尽力する使命がある。ただ、仲間がこうなってしまったのはショックで言葉がでない。なぜ起きたのか。事態の原因解明を徹底的にすべき」

 国土交通省は3日、事故直前の空港管制官と両機との交信記録を公表した。JAL機には滑走路への進入を許可していたものの、海保機に進入を許可した記録はなかった。

 一方、海保機の機長は事故直後に「滑走路への進入許可を得た上で侵入した」という報告をしていたという。国交省は「交信記録を見る限り海保機に対しては、滑走路への進入許可は出ていない」とした。

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