2番目のリスクは、核のターゲットは核保有国ではなく、近隣同盟国の米軍基地の可能性が高いということだ。最初に使う核は比較的小型の戦術核兵器になるが、そうするとターゲットは核大国ではなく、北東アジアではアメリカの「核の傘」の下にある日本や韓国の軍事基地が真っ先に狙われる、という。
「3番目は、戦争をこれ以上エスカレートさせないために核兵器を使うリスクです。今のロシアが最も近いと思います。しかしそれで戦争は終わらず、報復の連鎖により数時間、あるいは数日のうちに世界核戦争になる可能性があります」(鈴木教授)
「被爆の実相」を
冷戦以降、今は核兵器を巡る緊張関係が最も高まっているといわれる。核の脅威をなくすには「何より、核兵器が非人道的な兵器だとわかってもらうことが重要」と鈴木教授は説く。
「核兵器が使われた時の影響を知らない人が世界にはまだ多くいます。『被爆の実相』という言葉がありますが、被爆した人の体験やその影響を伝えていくことが大事。日本は核兵器を使われた唯一の国として、『キノコ雲の下で起きたこと』を世界に伝えていくことが大切です」
核兵器が存在し続ける以上、人類は深刻な危機に直面し続ける。「核なき世界」を実現するにはどうすればいいか。鈴木教授はこう提言する。
「核抑止を必要としない世界をつくる必要があります。すでに、南半球は核兵器の生産・保有を禁止する非核兵器地帯となっていますが、ヨーロッパや中東、北東アジアなどでは実現できていません。これらの地域にも非核兵器地帯の設立を目指し、核抑止は危険で依存すべきでないことを各国が認識していく。そうすれば、核兵器の廃絶は必ず実現します」
そして今重要なのは、ただちに戦争を止めることだ。世界で起きている戦闘を止めるには何が必要か。AERAはネットで、この問いを投げかけた。
「双方に一切の支援をしないこと」(64、会社員男性)、「国連などの機関による、交渉や調停が必要だと思います」(35、会社員男性)など、さまざまな意見が寄せられた。