そして今も、ガザでは命が奪われ続けている。安田さんは「攻撃を止められないことによって、等しいはずの命の価値に違いがあるという誤ったメッセージが世界に伝わり続けることになる」と指摘する。
「パレスチナ人は生きるに値しない、イスラエル市民が殺されれば報復としてどこまでも殺害していいという命の格差を是認することになります。そうした人種差別の眼差しが、ジェノサイドへとエスカレートしていったのだと思います」
戦争のない人類の歴史はあり得ないと言われる。だが2023年ほど、「戦争」を強く意識した年はなかった。
ガザだけではない。世界中で戦争や紛争が起きている。ウクライナでは、ロシアの侵攻で2年近く激しい戦闘が続く。アフリカのスーダンでは23年になって国軍と準軍事組織が戦闘を始めた。ミャンマーでは、国軍と武装勢力の戦闘が激しさを増す。(編集部・野村昌二)
※AERA 2024年1月1-8日合併号より抜粋