
まもなく暮れる2023年を、AERA dot.で読まれた記事で振り返ります。4月は、和歌山県で岸田首相を狙った爆発物事件が起きたほか、沖縄・石垣島沖で陸自の師団長ら10人が乗ったヘリが墜落しました。また、音楽家の坂本龍一さんや「ムツゴロウ」こと畑正憲さんが亡くなりました。AERA dot.では、翌5月にあった英国王の戴冠式に秋篠宮ご夫妻が出席する理由を取材した記事「どうして秋篠宮ご夫妻なのか 新英国王の戴冠式への出席が両陛下ではない『理由』」が読まれました(肩書や年齢等は配信時のまま)。
【写真】まさか1人だけドレスコードが伝わっていない?女性皇族がずらりと並んだ一枚
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5月6日のチャールズ新英国王の戴冠式が約3週間後に迫った。チャールズ3世はカミラ王妃とともにロンドンのウェストミンスター寺院で、正式に王冠を授けられることになる。英王室から皇室に届いた戴冠式の「招待状」に対し、秋篠宮ご夫妻の参列が今月11日の閣議で正式に決まった。しかし、ネット上では、「どうして秋篠宮ご夫妻なのか」「天皇、皇后両陛下が参列すべきでは」という声がいまだにおさまらない。
そもそも、なぜ戴冠式に出席するのが天皇陛下や雅子さまではなく、秋篠宮ご夫妻なのか。
英国から届く「招待状」には、宛名の記載はないと言われている。だが、これまでの各国の戴冠式では、皇太子クラスの出席が慣例であった。どうなっているのか。
このような疑問に対して、英国政治外交史を専門とする関東学院大学国際文化学部の君塚直隆教授は、こう解説する。
「主人公は、戴冠式で王冠を授かる時の王と王妃です。しかし、各国の王や女王の序列は、在位歴によって決定されます。主役の新王や新女王らよりも、祝福する側に、格付が上となる、他国の王や女王、先代の王や女王が出席しては具合が悪いわけです」

元首の参列は控える戴冠式
その慣習をつくったのは、欧州王室のトップに位置していた英王室であり、その線引きを明確にしたのは、1937年に行われたジョージ6世の戴冠式だった。
「ジョージ6世の戴冠式に、生母であるメアリー皇太后が出席したいと希望したのです。ジョージ6世の父・ジョージ5世の戴冠式に、生母であるアレクサンドラ王太后は、夫の喪は明けていたが出席していません。生母が息子の戴冠式をこの目で見たいとする思いはもっともです。しかし、それにはすこし問題がありました」
というのも、新国王の兄である前王のエドワード8世は、離婚歴のある米国人のシンプソン夫人との結婚を望み、議会と対立して王を退位した「王冠をかけた恋」で知られた人物だった。