まつりさんの愛猫、ももちゃんと幸美さん

まつりさんの事件と宝塚の問題も同じ弁護士が代理人に

 実は、まつりさんの事件で幸美さんの代理人を務めたのも、同じ川人弁護士だった。同じ弁護士が代理人となっている宝塚の問題ということもあり、幸美さんは強い関心をもってきた。

「川人弁護士のおかげで、電通は非を認めて謝罪をしました。裁判をせずにすみました。先日、川人弁護士に久しぶりにお会いする機会があったのですが、『宝塚は本当にひどい会社だ』と非常に怒っておられた。私たちと電通の話し合いが続いていた時も、同じような思いを口にされていた。電通ほどひどい会社は他にないと思っていたのですが、宝塚も変わらないんだと、劇団員のご遺族のことが決して他人事とは思えません」

 昨年、取材に応じてくれた時、幸美さんは帽子をかぶったままだった。子宮体ガン(子宮内膜ガン)と診断され、昨年7月20日に手術をして間もないころで、治療の副作用のため髪が抜け落ちていたのだ。

 今回、話を聞いた日も、病院の検査が終わったばかりだった。

「診断の結果、がんの転移はないそうです。けど、後遺症というのか、体のしびれや足の裏の感覚がおかしいなどもあって体調はすぐれません」

 と話す幸美さん。そばにはネコの「ももちゃん」がずっと寄り添っていた。まつりさんが、東京大学に通っていて、週刊朝日のインターネット動画配信のアシスタントをしていたころに、もらわれてきたネコだ。

 筆者も週刊朝日編集部から動画配信をしているときに、まつりさんから直接何度も、

「うちのももちゃんがかわいくて」

 と聞かされたのを覚えている。

電通社長の声明にがっかり

 今年7月、電通のホームページに社長名で、

<株式会社電通は、「ハラスメントの撲滅と防止」に取り組んでいくことを宣言します。パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントは、人の尊厳を不当に傷つけ、心身の健康を害することにもつながる、決して許されない行為です>

 などとする声明が発表された。

 幸美さんはこれを見て、暗い気持ちになったと話す。

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