目の前にまるでタイムスリップしたかのような迫力ある光景が広がる、伝統の神事「相馬野馬追(そうまのまおい)」。
毎年7月に、福島県南相馬市を中心に行われる平安時代から続く歴史ある行事です。
甲冑を身にまとった騎馬武者がズラリと並ぶ、その数はなんと500騎! その光景はまさに、戦国時代に迷い込んだかのよう!
1000年以上の歴史をもち、幾多の困難を乗り越えながら今に受け継がれる南相馬の誇り「相馬野馬追」のルーツとみどころをご紹介します!
神聖な行事「相馬野馬追(そうまのまおい)」
相馬野馬追のルーツは1000年以上前。平安時代に大きな勢力をもった平将門に由来すると言われています。
平安時代中期の関東の豪族・平将門は軍事訓練として馬を敵兵に見立て、その馬を生け捕りにしていました。
そこで生け捕りにされた馬は「神馬」として神前へ奉納されたのです。
鎌倉幕府以降は軍事訓練が禁止されていましたが、「相馬野馬追」だけは生き残ってきました。
それは、神馬を奉納するという行為が「神事」として認められたからとされています。
大迫力の2大行事「甲冑競馬」と「神旗争奪戦」
安全祈願祭(7月24日)を含み、全4日にわたって行われる「相馬野馬追」ですが、メインは26日(日)の「本祭り」。
ここで行われる2大行事が相馬野馬追のハイライトと言えるでしょう。
その一つが「甲冑競馬(かっちゅうけいば)」。
陣螺陣太鼓が鳴り響く中、兜(かぶと)を脱ぎ、白鉢巻きをしめた若武者たちが馬にまたがり、先祖伝来の旗指し物をなびかせながら、一周1000mの距離を10頭立てで走り抜けます。
人馬一体となり、風を切って疾走する勇壮なこの競馬には、かつてJRAで活躍した競走馬も走っているとのこと。そのスピードは圧巻です。
そして、もう一つのメインが「神旗争奪戦(しんきそうだつせん)」。
陣螺(じんがい)が鳴り終え、空中に炸裂した花火の中から二本の御神旗がゆっくりと舞い下りると同時に、数百もの騎馬が、一斉にその御神旗をめがけて駆け抜けます。
抜刀こそありませんが、鞭を振りかざしての奪い合いの中、落馬してしまう者も続出。「本祭り」の中でも最も荒々しく、見どころ満点の行事です。
この御神旗を手に入れることができた騎馬武者は、高々と誇らしげに旗をかかげながら七曲りの坂を一気に駆け上がり本陣へと報告に向かいます。その道は、まさにビクトリーロード。
多くの人のどよめきと喝采の拍手が相馬のまちを包み込む祭り最大のクライマックスでは、鳥肌が立つほどの感動を体感できるはず!
幾多の困難の中で継承されてきた伝統ある神事
相馬野馬追も東北夏祭り同様、東日本大震災の後は開催が危ぶまれました。
特に、東京電力福島第一原発事故の影響が深刻だったこの地域。
馬を手配できず、やむなく参加を断念する人も少なくなかったといいます。
それでも、相馬野馬追はいまだかつて、どんな困難の中でも中止になることはなかったとのこと。
途切れさせてはいけないという相馬の誇りがこの行事であり、途切れさせてはならない神事であるという強い意志が伝わってきます。
昨年も約16万人の来場者を集めた相馬野馬追。今年も熱気に満ちたビッグイベントとなることでしょう。
注目はやはり、26日(日)に南相馬市原町区・雲雀ヶ原祭場で開催される「甲冑競馬」と「神旗争奪戦」!
夏休み期間中でもあるので、お子さんと一緒に南相馬市にぜひ足を運んでみませんか。
※祭りの詳細は「相馬市オフィシャルサイト」を参考にしてくださいね(リンク先参照)