「マンション管理士の平均年齢は60~70代で、ほとんど定年退職した人か自営業の人。シニアの同好会のような雰囲気でした。50代の私は若手です」

 仕事内容も想定とは違っていた。

「マンションが抱える複雑な課題を、法律や経験をもとに解決していくイメージでしたが、頼まれるのはありきたりな問題ばかり。たとえば、マンション管理組合がマンション管理会社に対して抱える『管理費を安くして』『言うことを聞いてくれない』など世俗的な問題がほとんどで……」

 むしろEさんが必要に迫られて積極的に取り組んだのが、おじいさんのデジタル化だった。

「マンション管理士は高齢者が多いので、ITに弱い人ばかり。『Zoom(ズーム)で会議しましょう』というだけで大騒ぎ。マンション管理士で作る分科会で、私がZoomの講習会を開いたくらいです」

 Eさんは60~70代のマンション管理士を集め、「まずこのアプリをインストールして」「つながりましたか? 音が出ますか?」というところから教えたという。

 まるで高齢者のパソコン教室だ。

Eさんがマンション管理士で稼いだ金額

 さらに、Eさんが危機を感じたのは、集客に難航したことだ。

「マンション管理士が集まると、法律研究会とかマンション管理運営研究会とか勉強会ばっかり。一方で、肝心の新しい仕事を取ってくるスキルを驚くほど持っていないんです」

 いくら士業でも、お客さんが来なければお金にならない。

 Eさんの周りでは、マンション管理に関する無料相談会などを定期的に開催し、マンション管理組合の人からの相談に乗ることが唯一の集客窓口だ。

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資格試験に活路を見いだすおじさんたち