※写真はイメージです(Getty Images)
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 政府が副業を積極的に推進した2018年は「副業元年」と呼ばれている。コロナをきっかけにリモートワークで通勤時間がなくなった人や、仕事が減り副業を始めたサラリーマンは多い。育児のかたわら、ギグワーカーとしていろんな仕事を体験しているジャーナリストの若月澪子氏は、ある試験会場で試験監督のバイトに集まるたくさんの「バイトのおじさん」の群れに衝撃を受けた。いわゆるホワイトカラーとして働いてきた人たちが、組織を離れ個人になると、どんな仕事があるのか。リタイア後を見据え資格を取るもの一手だ。おじさんの副業体験をまとめた同氏の新著『副業おじさん 傷だらけの俺たちに明日はあるか』(朝日新聞出版)から一部を抜粋、再編集して紹介する。(年齢などは取材当時のものです)

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国家資格の試験会場はおじさんだらけ

 木の葉舞い散る11月最後の日曜日のお昼ごろ。東京・池袋にある立教大学に、緊張した面持ちの中高年男性が次々と吸い込まれていく光景があった。

 この日、国家資格「マンション管理士」の試験が全国各地の会場で実施されていた。立教大学は都内の試験会場の一つ。2022年の全国の受験者数はおよそ1万2000人。受験者の9割は男性で、およそ7割が40代以上だ。

「試験会場は、60代のシニア男性と40~50代の中高年男性ばかり。会場全体がごま塩みたいになっていましたね」

 2年前にマンション管理士の資格を取得した首都圏在住のEさん(51)は、かつての試験会場の様子を苦笑しながら振り返る。

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会社員が1000時間の受験勉強をするには