
東京都の高校無償化に続き、政府は扶養する子どもが3人以上いる世帯の大学などの授業料無償化の方針を発表した。教育費の負担を巡る世の意見を探った。AERA 2023年12月25日号より。
* * *
都の高校無償化の話が出た2日後、政府が扶養する子どもが3人以上いる世帯を対象に、大学などの授業料と入学金を25年度から無償化する方針を打ち出した。現在、年収380万円未満の世帯では授業料を減免するなどの制度があるが、所得制限を設けない方向だ。グラフは、国立大学と私立大学の初年度納付金を示したもの。新たな方針では、公費で賄う授業料の上限は国公立で年約54万円、私立大で年約70万円。入学金の上限は国公立大が約28万円、私立大は約26万円とする。
3人以上の子を扶養する世帯は子ども全員が無償化される方針に、ネット上では「不公平すぎる」「将来の教育費を考えて子どもを2人にしたのに」「3人以上子どもがいる人は今もかなり恵まれた環境で、格差が拡大する」といった反対の声も多くみられた。
東京都杉並区在住で、中2、小6、小3と、3人の子育て中の女性(38)は、仕事中にニュースで知り、「衝撃的だった」と話す。
「大学に向けて積み立てる予定だったお金を、他に回せることになるかも。高校、大学ともに無償化となると、中学校から私立に通わせるというのも、俄然選択肢に入ってくる。ただ、この制度がどれだけ継続するものなのか……。当てにして動いたとして、今後方針が変わったりしないかが心配です」
確かに政策がどれだけ継続されるのかは当事者にとって大きな問題だ。『進学格差』などの著書がある桜美林大学の小林雅之教授も、「無償化を少子化対策とするなら、政策が継続される前提でないと意味がない」と指摘する。