客席はそこそこの入りなのだけど、見た目45歳オーバーの男性客がほとんど。長時間の上映に備えて、開演前のトイレは行列です。みんなおしっこ近い世代だからね。いわゆるカルト映画を観にきただけあってちょっとした高揚感が場内から感じられます。観てはいけないものをこれからみんなで観るような、そんなワクワク感と少しの背徳感。

 始まった。

 ????????

 クエスチョンマークが頭の中に飛び交う3時間弱。途中、ものすごいイビキが聞こえてきて集中出来なかった……気もするが、いや逆に集中出来なくてよかったのかもしれない。無理に集中なんかしたら身体に変調をきたす可能性大だ。

 説明むずかしいな。

 ストーリーはね……ジョギング好きのソープ嬢が愛犬の仇討ちのために走って走って走りまくって、時代劇とスペースシャトルと琵琶湖で可愛らしくラッピングしてみました……そんな映画でした。まぁ気になる人は各自調べてください。

 終演後、やっぱり膀胱がパンパンになったおじさん達がトイレに大行列。その中に10代とみえるZ世代の若者2人組がいた。新文芸坐にたまにいる世の中を諦めちゃった若者とは違う、ホンモノのZ世代っぽい若者。真のZ世代の膀胱をもってしてでも「幻の湖」の164分には耐えられないのだ。

 A「長かったな」

 B「ね」

 A「ずっと走ってたな」

 B「ね」 

 A「タイパ、逆に大変なことになってるし」

 B「昭和のタイパ」

 A「昭和っぽい」

 B「昭和だね」

 A「昭和だ」

 B「昭和」

 A「昭和」

 待て待て待て待て。違う違う違う違う。

 タイパで語るな。そして「昭和」で括るなよ、Z世代!

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観たくはないけど、かなり自由