春風亭一之輔・落語家
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 落語家・春風亭一之輔さんが連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「Z世代」。

 Z世代は、自分で「私、Z世代ですから」とか「Z世代なんです、オレ」とか、たぶん言わない。

 おそらく違う世代の人が言ってるんだろう。たとえば「AERA」を読んでる世代の人とか。もっと幅広く言えば「正論」とか「WiLL」とか読んでる世代も。

 うちの3人の子供らもいわゆるZ世代。でも「Z世代だろ?」と聞くと「は? 知らんし」みたいな感じ。そう、Z世代は、Z世代なんてモノに対して「知らんし」というスタンスなのです。

 先日池袋の新文芸坐で、映画史・時代劇研究家の春日太一著「鬼の筆」の出版記念として昭和の名脚本家・橋本忍作品特集が組まれていた。これは行かねばなるまい。

「ゼロの焦点」「切腹」「侍」「首」「日本沈没」「八甲田山」……名作映画の数々。タイムスケジュールと自分の予定を照らし合わせて、どれなら観にいけるかなと頭を捻っていると……「幻の湖」のみ唯一鑑賞可能であることが分かった。

 どうやら「すごい」映画らしい。数々の名作を世に送り出してきた橋本忍が脚本のみならず、監督、演出、原作、プロデュース全てをつとめたのに公開初日からまさかの不入りで、あっという間に打ち切られたという伝説の怪作……らしい。

 特集の中ではこれしかスケジュールに上手くハマる作品がない。しかも上映時間164分!? なげえっ!!

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