「親の居場所」も重要
親が自分を責めたり孤立したりする背景について、不登校新聞編集長の茂手木りょうがさんは、「『不登校は悪』で『学校に行くのが当たり前』という考えが、まだ世間に根強くあるからだ」と語る。
「しかもいまの親は、自分が子どものころは学校に行くのが当然と思っていた世代。多様な生き方が大事だと思いながら、いざ自分の子どもが不登校になると、情報もないため孤立し、どうしていいかわからなくなります」
そうしたなか、重要とされるのが「親の居場所」だ。居場所は地元の不登校親の会、教育委員会の教育相談センターや児童相談所、各自治体の教育支援センターなどたくさんある。
西日本に住むもみじさん(40代)は、教育支援センターが支えになった。
もみじさんの小学校3年生の息子は、1年生の時に不登校になった。もみじさんは、子どもとずっと家で一緒に過ごすことが精神的につらく、勉強を教えようとしてもやりたがらない子どもと向き合うのが難しくて、子どもを怒ることが多々あった。
「その度に、子どもには本当に申し訳ない気持ちと、怒ってしまったことへの自己嫌悪を繰り返し、親としての自信も失って、よく落ち込んでいました」
そんな時、SNSで自宅近くの教育支援センターを知り、相談に乗ってもらうようになった。センターでは、支援員が悩みや現状を聞いてくれ、親子間のコミュニケーションなどをアドバイスしてくれた。
「学校との関わりで悲しいことがあった時も、一緒に涙してくださったことがありました。私の気持ちに寄り添って一緒に悲しんでくださる方がいる、このことだけで非常に心が救われました」(もみじさん)
親同士で情報を共有
先の中村さんは、親の居場所とともに「公的支援が重要」と話す。全国ネットの調査では、子どもの不登校を機に収入が減った世帯は約34%になった。
「子どもの不登校をきっかけに、親は仕事を休んだり辞めざるを得なくなり、経済的に苦しくなります。子どもをフリースクールなどに通わせると、かなりの家計の負担になります。公的な経済的支援は、親の精神的な支援にもつながります」