社員とシステムハウスからの約百人のチームで、朝9時に出社して夜11時ごろに帰る。大げさでなく、死ぬ思いでやった。「自分の責任で行動する」という『源流』からの水量は、途切れない。やがて、プロジェクトリーダーとなる。

 2019年4月に社長就任。昨年10月、グループの人材育成プロジェクト「ソウゾウ大学」を開校した。「ソウゾウ」は創造と想像の意味。若いときに檀家管理システムをつくるなど、ずいぶん、やりたいことができた。でも、いまは会社のなかの管理が行き届き、若手にそんなチャンスがない。だから、ソウゾウ大学に呼んで、新事業をつくることを目標にいくつかのチームにして、半年余り議論を重ねて提案を作成させる。

 そこから1点選んで、基金から500万円ほど出してやらせてみる。狙いは社員のやる気を引き出すことで、安いものだ、と思う。そこで「サンダル履き」の話もして、うまくいかなければ、すぐに撤退させる。

 キャッチフレーズも考えた。「ワカモノ、バカモノ、ソトモノの養成」だ。ワカモノは、もちろん若者。バカモノは当たり前のことはやらず、他人と違うことを考える人。ソトモノは本流を歩いていないで、しがらみがなく誰にも遠慮しないでやれる人。会社を変えていくために必要だと思う3類型だ。

 グループ内の雰囲気は、だいぶ変わった。ガス事業も電気事業とともに、自由化が進む。

 変わらざるを得ない時代を迎えて、『源流』からの水量がさらに増している。(ジャーナリスト・街風隆雄)

AERA 2023年12月18日号