山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
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  日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「緊急避妊薬」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

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 厚生労働省が望まない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」を、処方箋なしに販売する調査研究を始める方針であることを発表してから約5カ月が経過した11月28日、全国145の薬局で、緊急避妊薬の試験販売(※1)が開始となりました。

 試験販売の始まった緊急避妊薬「ノルレボ」とは、「レボノルゲストレル」のジェネリック。性交渉から3日以内(72時間以内)に内服しないと避妊効果が期待できない薬であり、3日以内の内服により、80%の確率で妊娠を防げるというものです。

これまでにも、日本の多くの医療機関で処方されてきた緊急避妊薬であり、私自身、緊急避妊薬の処方を希望された方に対して、都内の駅ナカクリニックで数多く処方したことのある薬の一つです。

世界では多くの国で市販化も

 世界にはすでに緊急避妊薬が市販化されている国や、処方箋がなくても薬剤師を通じて緊急避妊薬を購入することができる国が多く存在していますが、日本では、今の所、緊急避妊薬は市販化されていません。

 緊急避妊薬を入手するためには、医療機関を受診し、医師に状況を説明し、処方箋を発行してもらうしかありません。

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購入者の同意、フォローなど試験的に行う