阪神のHTマークは世界的デザイナーからも評価が高く1つの独立したブランドとしても認知されている。

「コシノミチコ氏はプライベートでHTマーク入りグッズを購入するほど。野村克也氏が監督時代に変更をほのめかすと、『バカなことはやめて』と止めたという。2007年の交流戦でユニホームをデザインした姉ヒロコ氏は、同マークありきで作業を進めたという」(アパレル会社関係者)

 阪神は球団創立時に自社デザイナーを中心にチームカラー、ロゴ、虎マークを球団ビジョンに沿って一括製作して今も変わらない。巨人は時代のニーズに合わせて臨機応変に対応しているようで、同じ伝統球団でも考え方や方法が大きく異なるようだ。

「時代に合わせて変化するのは当然のこと。球団マークが変わってもYGロゴがあったので巨人の伝統を感じることができた。プライド・オブ・ジャイアンツを掲げるのなら、YGロゴは絶対に守り続けるべき」(巨人OB)

 米国の名門ヤンキースには「選手の存在が球団を超えることはない」という球団哲学がある。選手は変われども球団は不動であるからこそ伝統が生まれる。ここへきて低迷期に入りつつある巨人だが、球団の在り方に関しても少し揺らぎが生じているのかもしれない。

「阪神は低迷期が続いて周囲から罵声を浴びせられても伝統を重視する思いは変わらなかった。ファンにも伝わるから愛されるのかもしれない」(阪神関係者)

 巨人22回(リーグ優勝38回)、阪神2回(リーグ優勝6回)と日本一回数には大幅な差がある。しかしファンの熱狂度は、質に違いこそあるが阪神優勢なのは間違いない。関わる人々が、「1度好きになったら嫌いになれない」存在になる大きな理由は、伝統に対する思いかもしれない。