愛子さまのお印「ゴヨウツツジ」の花飾りを添えた帽子とローブ・モンタント姿で、上皇后美智子さまのお誕生日のあいさつに向かう=2023年10月、東京都内

 そして今回お披露目となったヘッドドレスは、父である故・平田暁夫さんとともに親子2代で皇室の帽子デザイナーを務める平田欧子さんが、デザインと制作を担当したものだ。

ヘッドドレスには、繊細な花飾りが添えられている。

「カメリア(椿)の花をモチーフにした花飾りです」

 と欧子さんは話す。

「桜色の帽子をおつくりしたのは、もう2年ほど前です。いまの愛子さまは、すこし大人びた雰囲気もお持ちです。一輪の花もお似合いでいらっしゃると思い、こちらで提案しました」

 愛子さまからは女官を通じて、

「どうぞ、そのようにしてください」

 といった趣旨の返事があったという。

 カメリアをモチーフにした花飾りは、ひとつひとつ丁重な手作業で作られた。白い絹や水色に染めた絹の布地、ドレスの共布など数種類の絹布を用いて、花びらの色や葉の一枚一枚に表情をつけた。雄しべや「がく」、丸みを帯びた葉まで細やかに再現されている。

 カメリアの花飾りに加え、ヘッドドレスの一部をドレープさせたたことで、華やかさも増した。
 

 カメリアの花言葉も趣が深い。

一般社団法人「日本ツバキ協会」の箱田直紀会長によると、海外から伝わってきたもののために国内の栽培者はあまり使わないが、海外ではツバキに「控えめな優美さ」「謙虚な美徳」「至上の愛らしさ」、そして「誇り」といった意味を込めて用いるという。
 

「所作も堂々とされている」

 欧子さんは、カメリアのヘッドドレスを着けた愛子さまの映像を見て、こう感想を漏らした。

「ほほ笑んで沿道の人びとに手を振る所作ひとつも、堂々となさっている。場に慣れたことも大きいと思いますが、ぐっと落ち着きを増したご様子と感じます」
 

秋篠宮紀子さまの誕生日のあいさつに向かう愛子さま。ふんわりとしたリボンの帽子が可愛らしい=2023年9月、東京都内

 最近の愛子さまは、両陛下と一緒に公務の場に姿を見せる機会が増えた。来春には学習院大学を卒業予定で、初の単独公務も近いのではと期待も集まる。

 22歳の誕生日に公開された映像では、現存する最古の百人一首の写本を、1ページずつ丁重にめくっていた愛子さま。カメリアの花言葉の通り、謙虚さと聡明な美しさを備えた女性へと成長した愛子さまの姿が、そこにあった。

(AERA dot.編集部・永井貴子)

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