国会でも取り上げられた問題を前社長の藤島ジュリー景子氏は知らなかったのか(撮影/写真映像部・東川哲也)

BBCも関心を示していた

 前年の1999年に週刊文春がジャニー氏の性加害問題についてキャンペーン報道を展開していたとはいえ、国会の場でここまで具体的に言及するのは異例だろう。

 当時、政治家としてどんな思いでこの問題を取り上げたのか。阪上氏にぜひ話を聞きたかったが、19年11月に72歳で死去している。阪上氏の三男で、宝塚市議の桑原健三郎氏は当時をこう振り返る。

「父は仕事について家族にしゃべるタイプの人ではなかったので、国会の議事録に残っている以上のことは知らないんです。なので、私も父から詳しいことは何も聞いていません。この件はBBCの記者さんからも取材依頼の問い合わせがあったのですが、『議事録に載っていること以上のことは知りません』とお断りをしました。ただ、父は、あまり人が取り上げない所にあえて斬り込んでいったんだと思います」

 結局、BBCの報道が火をつけた形で、ジャニー氏の性加害は白日のもとにさらされた。20年以上も前に阪上氏はその深刻さに気づいていたのだろう。だが周知の通り、“メディアの沈黙”もあり、この質疑は大きく取り上げられることはなかった。健三郎氏はこう続ける。

「改めて、私も議事録は読みました。内容が内容なので、いろんな状況があり、(メディアも)取り上げられなかったんだろうなと理解はしています。ただ、もし取り上げられていたら、被害にあわずに済んだ方もおられるのかと思うと、残念な気がします」

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