NHKはAMのラジオ第1と第2を2026年度から一本化する構想を打ち出した。朝の語学番組はどうなるのか、聞いていた人への影響は? 「衝撃走る」と思いきや……。AERA2023年12月11日号より。
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東京都に住む阿部野一郎さん(54)は平日朝6時45分になるとNHKラジオ第2の「ラジオ英会話」を聞く。講師やネイティブの番組パートナーが放送中に英語でしゃべる部分を聞き取り、ディクテーションしてネットのブログ(「一路庵 BLOG 英語部」)に上げるためだ。
ディクテーションとは、例えば英語なら聞いた英語を一語一句書きとるトレーニングのこと。「ラジオ英会話」ではオープニングとエンディング、番組途中のプラクティスコーナーの前などに「自由会話」がなされる。
「番組を録音して起こしていくんです。テキストに載ってない部分ですので、一番喜ばれると思ってやっています。難しいところは録音を10回くらい聞き直しますね」(阿部野さん)
2018年秋に始め、すでに丸5年以上になる。最初はまとめるのに時間がかかっていたが、今では放送が終わって朝食を取ってから準備しても、朝8時ごろにはできているという。
「同じことをしているブロガーが何人かいらっしゃいますが、当日の朝、完成させてしまうのは僕だけです。ページビューはいつも400~500はいきますよ」(同)
朝の放送がなくなる?
そんな阿部野さんの「習慣」も、約2年数カ月後には変更を余儀なくされるかもしれない。今年10月からNHKは受信料の1割値下げを実施しているが、その収入減に伴う支出削減策の一つとしてAMの「ラジオ第1」と「ラジオ第2」を2026年度から一本化する構想を打ち出したからだ。
なぜ、それが習慣の変更につながるのか。
ラジオ第2といえば、真っ先に思い浮かぶのが語学番組ではないか。そして語学番組は、最初の放送が「朝」に集中している。6時台は「中学生の基礎英語」から「ラジオ英会話」までの4番組、7時台は「まいにち○○語」のドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語とヨーロッパ言語が続き、8時台は「まいにち~」シリーズのハングル、中国語となっている。