06年6月。シトシトと雨が降り続けるなか、雨がっぱを着て、身体より大きな傘を差す幼い愛子さまと、その小さな手をしっかりと握りながら歩く皇太子さまの姿があった。
この日は、学習院幼稚園での父親参観の日。愛子さまを見つめながら幸せそうに歩く姿は、ごく普通の父親と変わらないものだった。
この頃の愛子さまが熱中していたのが、相撲だ。
4歳のときには、住まいで「パパ」や東宮職の職員と技を再現しながら相撲を取り、力士の四股名や出身地を暗記する様子を、皇太子さまが明かしている。
同年9月、東京・両国であった大相撲秋場所をご一家で観戦。大きな口を開けて応援し、星取表に勝敗を書き込む様子が見られた。テレビで観戦しながら、「だれだれに 星がついたよ うれしいな」と七五調で文を作るほど熱中していると、皇太子さまも会見で明かしている。
11年、愛子さまは学習院初等科の4年生になった。長い髪を一つに結い、仕草もお姉さんらしくなった。しかし、学校生活への悩みを抱えていた時期でもあった。
ドイツから帰国した「パパ」を、東宮御所の玄関で雅子さまと出迎えた愛子さま。
安心した表情の娘を、目尻にしわを寄せて見つめ、そして背中に手を添えて東宮御所に入っていく皇太子さまの仕草から、家族の愛情が伝わってきた。
父親ゆずりのユーモアのセンス
「敬宮愛子」
17年3月。学習院女子中等科の卒業式で、名前を呼ばれた愛子さまが起立した。その様子を、娘を見守る、穏やかな表情でご夫妻が見守っていた。
愛子さまは卒業の記念文集のために、「世界の平和を願って」という核兵器のない平和な世界を願う作文を書いている。冒頭部分には、「家族に見守られ、毎日学校で学べること、友達が待っていてくれること……なんて幸せなのだろう。なんて平和なのだろう」と家族や周囲への感謝がつづられている。