ただし、投資家は同じようなことを考えがちだ。新NISAのスタート直後に、そうした銘柄に人気が集まり、株価が値上がりし、かえって「高値づかみ」を迫られるリスクもある。株価が上がると配当利回りも低下する。深野さんは続ける。
「高配当株を狙うのだったら株価が1円でも安い時に買いたい。新NISAのスタート直後である1月や、3月の決算期までは避けた方が無難かもしれません」
高配当株は決算期末の権利付き最終売買日に向けて「配当取り」と呼ばれる取引が活発になる。国内企業は3月期決算企業が多い。そのため3月後半にかけて高配当株の株価は上がりやすい。
「できれば決算後、株価がある程度落ち着いたタイミングで買うとよいでしょう。最近は夏場に株式市場全体が軟調になる傾向もあります。こうしたタイミングは『買い場』の一つ」(深野さん)
では実際に、高配当株はどう選んだらよいか。選定法の一つとして、深野さんが参考になると提案するのが「日経累進高配当株指数」だ。
この指数は10年以上連続して配当を増やす(増配)か、維持するかのどちらかで、減らす(減配)ことがなかった企業のうち、予想配当利回りが高い順に30銘柄を選んで算出される。深野さんは高配当株選びにあたって、この採用銘柄を参考にするとよいという。
「指数への採用は一定のスクリーニングになります。その上で自身の事情や好みなどを考えて選んでいきましょう。例えば利回りの高さを優先するのだったら、シンプルに配当利回りが高いものから順に、あるいは、今後の株価上昇も期待するのなら『株価純資産倍率(PBR)1倍割れ』の株式の中から選ぶ方法もあります」