※写真はイメージ(gettyimages)

 NISA口座を開設する際、一部の銀行や対面証券の窓口に出向くと、あなたの本来の目的「以外」の「おすすめ」をされることがある。現役銀行員が銀行窓口でのセールストークの裏側や販売ノルマについて語った。AERA 2023年12月4日号より。

【図】一部の銀行や証券会社でありがちな「セールストーク8」がこちら

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 2024年に始まる新しいNISAでは、ネット証券で低コストの全世界株式インデックス投資信託1本の積み立て設定を行い、老後まで忘れる。ネット証券でのNISA口座開設が面倒なら、いつもの銀行や、もともと口座を持っていた対面証券で始めてもかまわない。これが本特集で紹介してきた「ほったらかし新NISA」の要点だ。

 ただ、銀行や対面証券でNISAを始める際、初心者はガードを固めてほしい。金融機関の窓口でNISA口座を開設する際、低コストのインデックス投資信託「以外」の商品や保険をすすめられるかもしれない。

 96年、当時の第2次橋本内閣が提唱した金融システム改革(金融ビッグバン)により、銀行や生損保の窓口での投資信託販売が解禁された(98年12月~)。同時期に証券会社での保険販売も可能に。少し遅れて07年12月には銀行などでの保険販売が全面解禁となった。

 金融機関は「ほったらかし新NISA」で推す信託報酬0.2%以下の投資信託ではなく、もっとコストが高いものや保険を売りたいのが本音だろう。

メガや対面大手は

 もちろん、すべての金融機関がそうとは言わない。最近は銀行、証券会社でも意識改革が進んでいる。新NISA向けに低コストの投資信託を扱う金融機関も増えた。三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行といったメガバンクの新NISAでは信託報酬0.1%前後の投資信託が買える。野村証券やSMBC日興証券などの対面証券大手でも新NISAで「eMAXIS Slim」シリーズを取り扱い始めた。いずれもネットでの申し込みに誘導しており、「新NISAを機に別の金融商品を売ってやろう」という欲はそこまで感じられない。だが一部の地方銀行や、対面セールスに力を入れる一部の地場証券は、この限りではないようだ。

 現役銀行員の50代男性に取材することができた。大手地方銀行に30年以上勤めている。数年前から加藤隆二という名前で金融ライターとしてメディアへの寄稿を始めている。

編集部注:ここから先の話はあくまで一つの地銀の例であり、すべての銀行がこうではない

 一番聞きたい質問。銀行窓口での販売にノルマはあるのか。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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