「私の勤める銀行の場合、何億円売った、何件成立させたという形でのノルマにはなっていません。販売した分は、半期に一度の人事考課の際に参考とされる『ポイント』として積み上がっていきます。ポイントが多いほど評価が高まる。半年で1千万ポイントが貯まっていれば、ひとまず『合格』で、これが実質的ノルマのようなものです」
投資信託関連はポイントが低め。つみたてNISAの口座開設や投資信託の積み立てで1万ポイントといった具合らしい。
「1千万ポイントを目指している銀行員にとって、1万ポイントにしかならないつみたてNISAや投資信託の積み立ては効率が悪く、力が入らない」
なお、お客が買う投資信託の信託報酬が高くても低くても、加算ポイントは同じだという。
「最近、『新NISAの口座開設+投資信託の積み立てで6万ポイント』という項目が加わったので、今後は少し力が入るかもしれませんが……。それより、自行系列の証券会社にお客を紹介するほうが手間もかからずポイントを稼げるんですよね」
外貨預金は低ポイント
投資に興味を持つお客がいたら「よかったら系列の証券会社を紹介します、丁寧に教えてくれますよ」と提案する。お客に、証券会社に開示してもいい情報(名前、住所、運用希望額など)を確認のうえ、つなぐ。説明は証券会社にやってもらう。その結果、契約成立となれば、販売額の10%等がポイントとして紹介した銀行員に加算される。
投資信託以外で、たとえば外貨預金を売ることはあるか。
「外貨預金はポイント効率がよくないので……。預金は『平残(へいざん、平均残高)』といって、預けられた金額をお客の保有期間の平均で割られてしまうので、投資信託よりポイントが低いことも」
ポイント効率が一番いいのは保険で、売れ筋は円建ての変額保険と外貨建て保険。
「保険のポイントは高いので、担当者は保険を積極的に……というより保険しかセールスしなくなっていた時期がありました。当時のポイント率は円建ての変額保険が2%、外貨建て保険は5%。たとえば円換算でお客が1500万円を受け取れる外貨建て保険を売ったら、その5%の75万ポイント。もう、ポイントを稼ぐには保険が手っ取り早いわけです。ただ最近は、保険しか売らないような営業姿勢が行内で問題となり、ポイント率が下がりました。それでも投資信託や外貨預金に比べればはるかに高いです」