実権派は「改革開放政策」で中国をアメリカに並ぶ巨大な資本主義国にし、軍の近代化にも成功したが、もし台湾を名実共に中華人民共和国の一部にしようとしてアメリカと戦争になれば、この50年余営々として築いた経済超大国は重大な損害を被る結果になる。台湾の港への商船の入港を妨害する「兵糧攻め」で台湾の独立派を屈服させても、現在のように親密な相互依存関係が回復することは期待できないだろう。
アメリカ軍との多数のミサイルの撃ち合いや航空攻撃で中国の工場や交通の要衝、インフラストラクチャーが破壊され、現在世界最大の貿易国である中国の対外関係の断絶が長期化する公算が大きいし、外国からの投資も減少する。実利にさとい中国国民が、現在順調な台湾との関係を破壊し、百害あって一利なしの戦争を歓迎支持するとは思えない。
中国は2005年3月14日の全国人民代表大会で採用された「反国家分裂法」で台湾「統一のためには武力行使を辞せず」と宣言したように日本では言われた。だが、全文を読んでみると「一つの中国」と「平和統一」をうたい、第8条で「台湾独立を掲げる分裂勢力がいかなる名目で、いかなる形で台湾を中国から分裂させるという事実、または台湾の中国からの分裂を引き起こす可能性のある重大な事変、または平和統一の可能性が完全に失われた場合、国は非平和的手段やその他の必要な措置をとり、国家主権と領土保全を守らなければならない」とする。第9条では「本法の規定に基づいて非平和的手段やその他の必要な措置をとり、実行を手配する時、国は台湾の一般的市民と台湾在住の外国人の生命と資産の安全およびその他の正当な権益を保護し、損失を減らすよう最大限の可能性を尽くす。同時に、国は法に基づいて台湾同胞の、中国の他地域における権利と利益を保護する」とも定めている。