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「台湾有事」の勃発に備え、日本政府は防衛費を約2倍に増大するとともに、アメリカ軍と自衛隊の連携の強化を図っている。日本が「台湾有事」で中国と戦うことを前提とする議論が大勢を占めるが、軍事評論家の田岡俊次氏は「憲法違反」という。著書『台湾有事 日本の選択』(朝日新書)から一部抜粋、再編集して、その理由を説明する。

【図】台湾と中国の位置関係を確認

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日本もアメリカも「一つの中国」

「台湾有事」が起きた際、日本はアメリカとともに戦うべきだと論じる人々は台湾が独立国家であると思っている様子だ。

 1972年9月29日、田中角栄総理が中国の周恩来国務院総理と会談し、「日中共同声明」を発して署名し、その中の(2)で「日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する」、(3)で「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」と定めた。

 その6年後の1978年8月12日、日本は園田直外務大臣が北京で中華人民共和国の黄華外交部長とともに「日中平和友好条約」に署名調印した。この条約は1972年の「日中共同声明」を再確認し「前記の共同声明に示された諸原則が厳格に遵守されるべきこと」と定めている。

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