「ユナイテッド・シネマのポップコーンは、日本一おいしいと思ってもらえるよう、美味しくなーれ、と毎回唱えながら作っています」
女性に人気のある抹茶チョコ味のポップコーンを他劇場の女性社員と共に本社に提案し、採用された。同僚とポップコーンパフェも考案、全国の映画館で販売された。
16年には、食事をしながら映画が見られるプレミアム・ダイニング・シネマ(福岡市)のオープニング担当に抜擢された。食器選びから、メニュー作り、運営オペレーションまで行った。喜ぶお客の笑顔を見るたびに、やりがいを感じた。
秩父の映画館の立ち上げと、支配人という大役が舞い込んだ時、最初は断った。しかし、複数の上司から「お前ならできる」と言われ、悩んだ末に福岡から移り住んだ。
思ったほどお客が来ない日もある。悩むより、来てもらうにはどうしたらいいかを常に考え、突き進んできた。
これからも映画館にずっと携わり続け、最後は出身地・長崎のユナイテッド・シネマで定年まで働きたいと願っている。(ライター・米澤伸子)
※AERA 2023年12月4日号