阪神を18年ぶりのリーグ優勝に導いた岡田彰布監督

阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレード」が23日、神戸・三宮と大阪・御堂筋で開催される。阪神優勝が、チームやファン、関係者にもたらしたものに迫った。(この記事は、9月15日に配信した記事の再掲載です。年齢、肩書等は当時)

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 阪神が18年ぶりのセ・リーグ優勝を果たした。

 チームを率いる岡田彰布監督は前回リーグを制覇した2005年も指揮官を務めた。その後はなかなか“勝てそうで勝てなかったチーム”を今回、再就任1年目にしてリーグ優勝に導いた。

 チームの躍進はもちろん選手が中心となって成し遂げたものだが、熱狂的なファンを抱え大きな重圧のある阪神の監督として、結果を残している岡田監督は「さすが!」と言わざるを得ない。阪神の監督としては今季が通算6シーズン目となるが、Bクラスとなったのは最初に就任した時の1年目にあたる2004年のみ。その他のシーズンは全てAクラス入りしている。

「岡田監督の野球はセオリーに則ったベーシックな野球。失点を抑えるために質の高い投手陣を揃えるとともにセンターラインを重視する。今季も中野拓夢を二塁で固定、遊撃手に抜擢した木浪聖也とともに鉄壁の二遊間を作り上げた。中堅手の近本光司を加えた守備力は球史に残るレベルの高さと言える」(在京球団編成担当者)

 WBCにも出場し、昨年まで遊撃手を務めた中野を二塁へコンバート。期待されながら殻を破れずにいた木浪を遊撃手に抜擢したことも岡田采配の成功例の1つだ。

「捕手の起用法に感心させられた。1人で固定するのではなく梅野隆太郎と坂本誠志郎を併用して競わせる。両捕手とも懸命にプレーして素晴らしい活躍を見せた。結果的に梅野が故障離脱しても戦力の大幅ダウンにならなかった」(阪神OB)

 2018年から3年連続ゴールデングラブ賞受賞、東京五輪金メダリストの梅野。ダルビッシュ有(パドレス)も褒め称えるフレーミング技術を持つ坂本。適材適所での使い分けは「梅野の死球骨折」という非常事態への対応も可能にした。

 また、岡田監督の手腕については選手起用の巧みさだけではない。選手掌握術についても長けているという評価は多い。プロ野球界ではいまだに“前近代的”な選手の扱いがあり時折話題になることがあるが、そういった声を岡田監督に対して聞くことはない。

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