妊娠中のメスたちの運動場。「運動場にはスタッフを配置して、犬が積極的に動くように遊んであげるようにしている」と大久保氏は話す。(撮影/太田匡彦)

 ほかにも「D犬」(Coo&RIKU社内で使われている、仕入れたあと消費者に販売する前後までに死んだ子犬や子のことを意味する言葉)について見ています。D犬の平均値(仕入れ数に対する死亡数の割合)を算出し、平均を上回るブリーダーさんについては3カ月の取引停止などにしています。ルールは徐々に厳しくしていますが、アニマル桃太郎さんの一件の当時から、こういったルールは存在していました。けれども、アニマル桃太郎さんのような業者を見抜くことはできなかった。これがつまりはオークションのデメリットということになります。

 繁殖業者からの直接買い取りにより、オークション取引で生じるデメリットをなくせるものなのか。Coo&RIKUによる直接買い取りでは、繁殖業者が同社の店頭などに子犬・子猫を持ち込むのが基本だという。一方でたとえば、全国で100店舗以上を展開する大手チェーン「AHB」は、仕入れのほとんどを繁殖業者からの直接買い取りによって行っているが、バイヤーが繁殖業者のもとに出向いて子犬・子猫を買い付けている。そのため繁殖業者の飼育環境をバイヤーが実際に確認でき、場合によっては改善を促すこともしている。だがCoo&RIKUのやり方では基本的に、そうしたことは不可能だ。

大久保 段階があると思っています。オークションでの取引を最小限にするのが、最優先事項だった。ブリーダーさんとの直接取引を急速に進めてきて、それ(繁殖業者のもとに出向いての買い付け)ができていないのが正直なところ。たとえば(飼育環境が)悪化したところが出てきても、僕らは気付かないということは確かにありうる。

取引先は「海動物病院」を使ってほしい

 そのため、基本的な基準を改めて作り、年1回はバイヤーがすべての取引先を回って、状況を確認するというところはやっていこうと考えている。また、環境省が定めた飼養管理基準省令で(繁殖業者には)年1回以上の獣医師による健康診断が義務付けられているので、できればその際にはグループ会社の「海動物病院」を使っていただきたいとお願いしていくつもりです。たぶん(繁殖業者は)健康診断をやっていないところが多いはずです。取引先に法令を守ってもらうためには、(海動物病院を)使ってもらうのが確実だと思っています。

 繁殖業者との直接取引では、その時々のオークション相場にあわせて買い取りを行っているとも説明する。だがペットショップチェーンが繁殖業者と直接取引する場合には一般に、買い取り数を約束する代わりに、相場より安い買い取り価格を設定する。Coo&RIKUの直接買い取り制度には、あまりメリットがないように思える。

 
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