がんと告知され、「頭が真っ白になって先生の話が入ってこない」「どうすればいいかわからない」と、混乱し不安を抱く人は多いでしょう。できるだけ冷静に、これから始まるがんの治療について考えるためには、自分がどのようながんで、どのぐらい進行しているか、どんな治療の選択肢があるかを正しく知ることが大切です。そのために、まず必要なのが、医師の話をしっかり理解すること。本企画では、がんと診断された人が知っておくと役に立つキーワードについて、医師に解説してもらいました。全4回の3回目です。
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今回解説するキーワードは、「緩和ケア」「内視鏡治療/胸腔鏡(きょうくうきょう)・腹腔鏡(ふくくうきょう)手術」「ロボット支援下手術」です。
キーワード【緩和ケア】
がんに伴うからだと心のつらさを和らげるためのケア。痛みやだるさなど身体的な苦痛はもちろん、精神的なつらさや経済的なことなど社会的なつらさもケアの対象になる。がんと診断されたときからいつでも受けることができる。
緩和ケアと聞くと、「治る見込みのない末期がんの人に対する治療」というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし本来は、がんと診断されたときからとり入れられる「一般的な治療の一つ」と坪井医師は話します。
「緩和ケアは、がんを治すための治療と同時におこなうもので、必要であれば先に痛みを緩和する治療をした上で、がんの治療を始めることもあります。痛みが強いと食事もとれず、患者さんの体力が低下し、治療への意欲もなくなってしまいます。緩和ケアで患者さんが元気になると、治療にも良い影響を与えるという研究報告は多くありますし、実際の診療でもそう実感しています」
緩和ケアは、通院や入院のほか、自宅で療養しながら受けることも可能です。病院によっては、主治医によるがんの治療とは別に、医師や看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、公認心理士などによる「緩和ケアチーム」が、心身のつらい症状に対応することも。身体的な痛みには放射線や医療用麻薬による治療をおこない、精神的なつらさには臨床心理士などが対応します。
「医療用麻薬を使うことに不安を持つ患者さんもいるようですが、依存や中毒の心配はありません。医師の指示に従って安心して治療を受けましょう」(若尾医師)