放送作家の鈴木おさむさん
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 鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、「槇原ドリル」について。

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 このエッセイは本来、1972年生まれの僕と同世代の方々に向けて書いているものなのだが、今、読んでいる皆さん、今、Tiktokで槇原敬之さんの「もう恋なんてしない」がかなり流行ってるのをご存じでしょうか? しかも「槇原ドリル」の名前で流行っている。

 そもそも「もう恋なんてしない」は1992年リリースの曲。今から30年以上前である。

 アメリカ/イリノイ州在住の音楽プロデューサーCHOBO CURRYが子供の頃から大好きだったこの曲にドリル調のリミックスを施し、それが2021年11月にYouTubeでアップロードされた。そこから2年近くの歳月がたち、今、Tiktokで大バズり。若者たちがみんなこの曲で、踊っている。#槇原ドリルの視聴数は3億近く。

 80年代90年代の曲や色んな物が突如リバイバルで流行ったりするが、誰が「もう恋なんてしない」が2023年に大バズりするなんて思っただろうか?

 僕はこの曲にちょっとした思い出がある。僕は19歳でこの世界に入り放送作家にさせてもらった。最初につかせてもらった番組が「槇原敬之のオールナイトニッポン」だった。火曜3時。ちなみに1部は伝説の番組「とんねるずのANN」だ。

 僕が入ったのは1992年2月。そのときの槇原敬之さんは、91年6月に発売した「どんなときも」が大ヒットしたが、「もしかしたら一発屋なんじゃないの?」とうがった見方をされていて、そして91年11月に「冬がはじまるよ」がヒットはしていたが、世の中の「一発屋なんじゃないの?」疑惑はまだ完全に解けてなかった。そういう見方をするのが流行っていた時代。

 僕がラジオに入ったのはその「冬がはじまるよ」が発売されてから3ヶ月後。槇原さんは、何者かも分からないド素人の僕をあたたかく受け入れてくれた。「がんばってね」と、あの槇原さんの一言がどれだけ励みになっただろう。

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