AERA 2023年11月20日号より(イラスト:サヲリブラウン)

大切なことに優先順位

堀井:スーちゃんと私は、巡り合った環境で、少しずつ居場所を作ることができたので、恵まれていたと思います。でも、介護をしていたり、子どものことで悩んでいたり、にっちもさっちもいかない人もいますよね。そんな人も、周囲に原因を探すより、自分が何を欲しているのかを自覚することで少し楽になるかもしれません。

スー:そうだね、自分をわかるってすごく大事だよね。なぜそうなっているのかは、自分の中にしか答えがないし。

 仕事や家庭、パートナーとの悩みも根本は一緒。職場や環境に恒常的な不満があるにもかかわらず同じ場所に居続けたら、自分を腐らせることになってしまう。それだったら状況を変えたり、自分を変えてみる。居場所が変わることをリスクではなく、チャンスと捉え、役割を取り払って本当の欲望を探すしかないんじゃないかな。

堀井:そのためには、大切にしていることに優先順位をつけて考えるといいですよね。どうすれば自分を大切にできるんだろう、自分がいい状態でいられるんだろうと考えてほしいですね。

スー:自分の言動や行動を友だちに置き換えてみるのもいいと思う。友だちが周囲を見下すような愚痴をずっと話していたら、きっと「そこに居るのやめたほうがいい」と諭しますよね。

堀井:五感を働かせると、大切なものが見えてくると思います。これまで見えてなかったものが、自分の感覚を通してわかってくるというか。

AERA 2023年11月20日号より(イラスト:サヲリブラウン)

年を重ねて同じ場所に

スー:堀井さんは先日、旅行が好きではないのにインド旅行をしましたね。

堀井:インドでは知らなかったこと、見ていなかったことがたくさんありました。すごく考えさせられることもあって。私のように思いもよらなかった場所に旅をしてもいいし、近所でも初めての場所に行ってみたら、気づくことがあるかもしれない。

スー:私は人との対話を通して、「ああ、そうか、なるほどね」と答えがわかったり、道筋が見つかることが多いかな。

堀井:私は会社員を経てフリーになりましたけど、違う道を歩んでいたとしても、同じテンションで割と楽しく生きていたかなって。どこにいても自分は失わず、そのままだったろうと思うんです。

スー:私も同じ。唯一の迷いは、留学したとき、そのままアメリカの大学に行けばよかったかな、ということくらい。あとは好きにやってるかな。

 女性は結婚したり、仕事が忙しくなったりして、30代前半に友人と疎遠になる時期があるんですよね。でも、それは一時的な変化で、40代後半から同じところに戻ってきます。私と堀井さんも属性がまったく違うけれど、一緒にポッドキャスト番組の「OVER THE SUN」ができるのは、同じところに戻ってきた感覚があるから。それが年を重ねて得られるいいことだし、今、友人と離れて寂しい思いをしている若い人には、「楽しい未来があるから大丈夫」と伝えたいですね。

(構成/ライター・角田奈穂子)

AERA 2023年11月20日号

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