
「この本はタイトルよりも吹き出しの煽り文言を目立たせるイメージでデザインを進めていきました。色校の段階ではオレンジと青の2案ありましたが、青の方が文字が目立つということで青を選びました」(片山さん)
照明が強い書店の中で、いかに目立つかが最大のポイント。青はその中でも強い色だという。この本は30代から50代の男性をメインターゲットとしていて、ポップな表紙にしながらも寒色である青を使うことにした。
「勉強法の本ということで、ポップながらもある程度引き締まったイメージをつける必要がありました。オレンジだとカジュアルすぎてエンタメ系の本に見えてしまいます。ビジネス書の棚に置くためには多少の引き締めが必要で、文字の可読性や視認性を考えても青がベストと判断しました」(片山さん)
イメージしたのは「道路標識」だ。道路標識が車を運転しながらでも見えるように、吹き出しの煽り文言の視認性は青が圧倒的に高かったという。
「この本の競合にあたる大人の勉強法や脳科学者が書いた本は、白地に黒文字もしくは青文字の本が多いです。ビジネス書全体を見ても発売当時は白地の本が多い中、棚では目立っていたと思います。むしろ発売当時は浮いていた感じでしたが、だんだんと色付きの書影の本が増えてきた印象です」(片山さん)
ほかのビジネス書との差別化として始めたデザインがまたブーム化して店頭に増えていく。面白い動きだ。ダイヤモンド社の淡路さんは言う。
「ほかのヒットしているコンサル本にはあえて寄せず、独自の売り方をしたのが良かったかなと考えています。このカバー自体がほかのコンサル本との差別化ポイントの一つだったんです。表紙の要素は企画当時のままぶらさず、仮ではなく初めから最終決定のイメージで仕上げてきました。マネされるのは素直にうれしいですね」
(flier編集部)

