
『入社一年目の教科書』は、淡路さんが社会人一年目となる2011年に発売され、その後も毎年売れ続けている。「王道のビジネス書を作りたい」と考えていた淡路さんにとって、憧れの本だった。
さらに、表紙を青にした理由はほかにもあるという。
「著者の安達裕哉さんはコンサルタントなのですが、コンサルタントには“頭がいい”というイメージだけでなく、ネガティブなイメージを持たれる人もいると思います。『いけ好かない』『上から目線』といった負のイメージを払拭すべく、フレッシュで爽やかな“青”を使うことにしました」(淡路さん)
『頭がいい人』というタイトルをつけながら、あえて柔らかくし、「かっこよく仕上げない」というのが淡路さんの戦略だった。もっとスタイリッシュな水色の案もあったが、あえて爽やかな青を選んだという。
「ダイヤモンド社の王道のビジネス書よりも女性比率が高く、現在47%とかなり高い数字を出しています。白い表紙の本が多い中で青は非常に目立っていて、地方でもよく売れています。表紙の色もこの本のヒットの要因の一つかなと考えています」(淡路さん)

もともとメインターゲットに考えていたのは、20代前半の就活中や会社に入ったばかりの男女。若い人が手に取れば、おのずと上の世代も反響すると考え、若手の新入社員をイメージしたイラストをオビに入れた。
「白い表紙はタイトルも目立ちますし無難ですが、あまりに数が増えすぎたと思います。単体で見れば悪くないのですが、書店の店頭で0コンマ何秒でお客さんにアピールできるかというと、厳しいかなと思いました。青カバーには白オビをつけるのが王道ですが、この本は青カバーに青オビにしており、これは珍しいかなと思います」(淡路さん)
「青いビジネス書」でヒット作を出している出版社は他にもある。サンマーク出版から昨年11月に発売された『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(加藤俊徳著)の編集担当・片山緑さんにも話を聞いた。