青い表紙の本を読む女性の写真
写真はイメージ(GettyImages)
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 1年に発売される本の刊行点数は、総務省の統計によると年間約7万冊と言われている。ビジネス書も毎年たくさんの本が発売されているが、毎年トレンドに合わせてテーマやタイトルがブーム化していくのが特徴だ。

 近年では『〇〇は9割』『1分で〇〇』『〇〇大全』『頭のいい人が〇〇していること』『教養としての〇〇』など ベストセラーにインスパイアされたタイトルの本が多数発売されている。そして、これはタイトルに限ったことではない。

 本の表紙(書影)にもブームがあり、一つヒットが出るとそれを追うようにして似たデザインの本が書店に並んでいく。

 ここ数年で見ていくと、シンプルな白基調の表紙が圧倒的に多くなっている。性別のターゲット化をあえてせず、中性的で無色透明なイメージで、タイトルがストレートに目に入ってくる表紙がトレンドだった。しかし、それが今年に入って変化を迎えている。

 先日、クロスメディア・パブリッシングのX(旧Twitter) にこんな書き込みがあった。

 今売れているビジネス書って、青い表紙の本が多いですよね~!

 確かに今年に入ってからのビジネス書のヒット作を見ていくと、「青」を基調にした表紙の本が多くなっている。筆者が所属する本の要約サービス「flier」で紹介している本を見ても、

『頭のいい人が話す前に考えていること』

『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』

『冒険の書』

『熟睡者』

『新しいスキルで自分の未来を創る リスキリング 【実践編】』

 など、青い書影の書籍が目立つ。なぜトレンドが白から青に変わったのか、出版社を取材した。

青い表紙の書籍
青を全面に押し出した表紙が並ぶ

 今年の「青いビジネス書」の仕掛け人ともいうべき本は、なんといっても今年4月に発売された『頭の良い人が話す前に考えていること』(安達裕哉著 ダイヤモンド社)だろう。本書の編集担当の淡路勇介さんは、企画当初から青い表紙で出版することを考えていたという。

「企画当初から、『入社一年目の教科書』(岩瀬大輔著 ダイヤモンド社)という本を少し意識して作り始めました。将来的にこの本は『入社一年目の教科書』のように上司が新人に読ませたい本になっていけばいいなと思っていました。この本も青い表紙でロングセラーとなっています」(淡路さん)

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