過去のドラマでは完璧な女装を披露した山本耕史

もう一組のカップルにも注目

 そんな中、本作において注目したいのが、もう一組のカップルである小日向大策(山本耕史)と井上航(磯村勇斗)の存在である。

 Season1の第3話でシロさんと半ば唐突な形で知り合った小日向は、異様に強い目ヂカラとマッチョなボディーで不思議な魅力を放ちながら彼に近づいていく。2人きりで食事をし、マジな雰囲気を醸し出した恋愛相談を受けたシロさんは一瞬、自分に気があるのではと勘違いしてしまうが、目に入れても痛くない大事な年下のパートナーである航に対する単なるノロケだったことに気づき、ホッとする。もちろんSeason2でもこの2人は登場する。

 山本はかつて「さんかくはぁと」(1995年)というドラマで、体格を除きほぼ完璧な女装を披露したことがある。真っ赤なボディコンに身を包み、歌舞伎の女形を彷彿とさせる卵のようなツルッとした肌、柔らかで女性的なしぐさが、今でも脳裏に焼きついている。それを思い出すと、本作でのハマりぶりもまったく違和感はない。恋人役の磯村も憎たらしいほどのかわいさとわがままぶりで、年上の小日向をとことん振り回す演技と表情が板についており、こちらもシロとケンジに負けずとてもお似合いのカップルなのだ。

 そして、この2人が繰り広げる出来事がアクセントやコントラストとなって、シロとケンジの関係が引き立つ構図になっているところが興味深く、ひいては作品に広がりと厚みをもたらすことに奏功している。本筋とは多少ズレてしまうかもしれないが、小日向と航のスピンオフドラマを熱望しているファンはきっと多いに違いない。
 

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