「もう1組のゲイカップル」を好演する山本耕史(左)と磯村勇斗
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 西島秀俊内野聖陽の主演で、現在テレビ東京系にて放送中のドラマきのう何食べた? season2」が前シーズンに引き続き、好評のようだ。「秋ドラマ 初回満足度ランキング」(Filmarks調べ)でもトップとなり、視聴者からの注目度も高い。

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 原作は「西洋骨董洋菓子店」「大奥」など、ドラマ化もされたヒット作を持つ、よしながふみの人気漫画(現在も「モーニング」にて連載中)。主人公は、2LDKのマンションで同居生活を送っている弁護士の「シロさん」こと筧史朗(西島)と、その恋人で「ケンジ」こと美容師の矢吹賢二(内野)。2人の毎日の「食」を通して浮かび上がってくる、男2人暮らしの人生の機微を描いた作品である。

 2019年にSeason1が放送されると、X(旧Twitter)で世界トレンド1位になるなど好評を博し、さまざまなドラマ賞を受賞。2020年の元日に放送されたスペシャル版では、宮沢りえが16年ぶりに同局のドラマに出演したことでも話題になった。さらに21年には劇場版「きのう何食べた?」が公開され、いずれも高い評価を得ている。

 そして今回のSeason2では、前シーズンからの時間経過を反映させつつ、変わらず2人暮らしを続けるシロさんとケンジの何げない日常が、彼らが食べる日々の「食」の風景とともに描かれていく。

 料理がうまく、きちょうめんで倹約家のシロさんと、感受性にあふれ感情表現が豊かなケンジ。ストーリーは1話につき約1カ月単位で進み、セルフ・オムニバスとでも言える日常の一コマを切り取った描写がメインで、ドラマとしての連続性は比較的緩い。ひと手間加えたインスタントラーメンやカツ丼など実用的なレシピが紹介される料理シーンもシンプルで、特別な演出が施されているわけではないのだが、なぜか心に残る。
 

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ゲイ設定を忘れさせるほどの演技力