「ケンジ」役の内野聖陽

老いても仲むつまじい西島と内野が見たい

 作法や行儀、嗜好(しこう)に違いはあるものの、「食べる」という行為そのものに男女の差はないだろう。

 今、自分たちが暮らす社会に目を向けると、世界規模でエスカレートする分断や対立が嫌でも目についてしまう毎日だ。人間は食べずには生きていけない。そんな中で、異性だろうと同性だろうと、好きな誰かと一緒に食事をする時間のかけがえのなさは、人類が誕生して以来、そしてこれからも未来永劫(えいごう)、変わらないだろう。

 同様に、パートナーとともに人生を過ごす選択をした場合、時間の経過とともに、親兄弟を含めた家族との関係や法律的な制限、仕事関連のつきあい、ご近所や社会の目など、さまざまな問題に直面していく。同時にそれによって互いの価値観や生きざまが浮き彫りになっていき、時として“選択”を迫られることにもなるわけだが、これは別に同性カップルや、もっと言えばカップルに限ったことではない。男と女でも、男同士でも女同士でも、一人でも二人でもそれ以上でも同じだ。

 私たちはこのドラマに描かれている、食の「等しさ」と、人生の「普遍性」にそこはかとなく心引かれるのではないだろうか。ならば、できることならこのまますてきに年齢を重ね、老いてなお仲むつまじく2人で食事をしてほほ笑み合う西島と内野の芝居をずっと見ていたい。

(中村裕一)

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