高知市内にある「つちばし薬局」の様子。不足している薬の引き出しには「×」の文字が(撮影/松岡かすみ)
10月の会見で薬不足に関する医療機関への調査結果を説明する日本医師会の宮川政昭常任理事

 小児科でも同様の事態が起こっている。東京都のしあわせ子供クリニック院長で小児科医の二瓶浩一さんによると、9月時点で、発熱などの症状を訴えてクリニックを訪れた患者が、昨年の倍近い数に上った。ところが近隣の薬局で処方した薬が足りておらず、「薬局をはしごしたが、処方された薬がない」といった相談が相次いでいる。

「比較的手に入りやすいと思われる薬を処方するなどして対応していますが、果たして薬局に薬があるかどうか、手探りの状態が続いています。子ども用の薬はもともと種類も数も少なく、ただでさえ余裕がない。冬場には胃腸炎など他の症状も増えるので心配しています」(二瓶さん)

 地方でも同様に薬が不足している。高知県薬剤師会の西森康夫会長は、「必要な患者に必要な薬が届かず、心苦しい」とため息をつく。

「特に感染症の薬は、すぐに服用が必要になるケースが多い。卸に薬がない場合、薬局間で譲渡し合うなどしているが、先が見えず解決の手だてがない」

(ライター・松岡かすみ)

AERA 2023年11月13日号より抜粋

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