「カフェ プラたく」の店内。何層にも高く積み上げられたプラレールの立体レイアウト。ぺたぞうさんの手によるもので、見る者を圧倒する(撮影/写真映像部・高野楓菜)
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 子どもだけでなく、大人も魅了し続けるプラレール。誕生以来、守り続けている規格と精神をもとに、さらなる進化を続けている。AERA 2023年11月6日号より。

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 誕生から半世紀を超え、今なお人気は衰えることを知らず、子どもから大人までファンが多いプラレール。

 とくにJRが民営化された際、JR各社が次々と新型車両を導入するのに合わせ、プラレールも新車を発売。斬新な車両やスマートな新幹線などが子どもたちの心をわしづかみにし、プラレールの人気は再燃した。

 また、先頭にカメラを搭載し、映像を見ながらコントローラーで運転する楽しみを与えてくれる商品も生み出すなど、新しい遊び方を提案しプラレールは人気を不動のものとした。

 そもそもプラレールは1959年に発売した、手転がし式の「プラスチック汽車・レールセット」が原型である。61年に初の3両編成の電動式「電動プラ汽車セット」を発売し、現在の形が定着していく。日本国内では累計1962種類、1億8640万個以上(2023年3月末現在)を販売し、日本を代表するおもちゃの一つである。

「発売以来、基本の規格は変わっていません。直線レールの長さは216ミリで、レール同士の接続部の形状も同じです」とはタカラトミー・プラレール事業部企画開発課の杉山深さん。

 直線レールの216ミリという長さは、プラレールを開発した当時、どの家にもあったちゃぶ台の上で円形にレールをつないで遊べるようにと考えたサイズだ。曲線のレール4本で直線レール2本分の長さの半円をつくることができる。接続部のジョイントはシンプルだ。

「レールは素材の変更や表面に滑り止めの細かな溝を入れるなどの改良を進めていますが、基本は変わらないので、ご両親や祖父母のものでも遊べるのも特徴です」とは同事業部の田畑孝さんだ。

「カフェ プラたく」の店内では持ち込みのプラレールを走らせることもできる。追加料金は特に取らないが、1組の利用は1時間程度(撮影/写真映像部・高野楓菜)

守り続けてきた規格

 プラレールは規格やスピリッツを守りながらも、進化を続け、今年11月、片手サイズのコントローラーでプラレールの車両を操作する「キミが運転!グリップマスコン」を発売する。「マスコン」とは電車を操作するための装置で、本物の電車と同様にマスコンを操りながらプラレールをコントロールできる。

「6段階のスピード調整ができ、バックもします。ゆっくり発車し、駅でぴったり止めるなど、運転士のような楽しみ方ができます」と杉山さん。

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