俳優 神尾楓珠(写真:フジテレビ提供)
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 ドラマいちばんすきな花」で主演の一人を務める神尾楓珠さんがAERAに登場。「目指す役者像」は定めず、目の前の役をひたむきに演じ続けたという。AERA 2023年11月6日号より。

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 レンズの前にすっと立つ。用意されたセットにそっと手を触れると、空気がピンと張り詰める。

「雑誌の撮影で緊張することはないんですけど、今日はちょっとだけ。初めての蜷川さんとの撮影だから、物足りないって思われたらどうしようって」

 そんな本人の不安とは裏腹に、数多の被写体と対峙(たいじ)してきた蜷川実花のレンズが、その涼しげな瞳と凛としたたたずまいにぐいぐいと引き込まれていく。静謐な時間が流れる。

 16歳の頃、幼少期から続けていたサッカーをやめて、今の事務所のオーディションを受けた。「引っ込み思案な自分がテレビに出たら、みんなびっくりするかも」と、家族にも友達にも相談せず、報告したのは受かってから。家族は当然驚いたが、「受かったならやれば」と背中を押してくれた。

 悩んだときは、相談ではなく、「報告」することでバランスを保つ。

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