「アドバイスがほしいというより、共有することで楽になれるんです。誰にも言えないくらい悩みが大きくなったら、たぶん一生抜け出せなくなってしまう。それが何よりも怖いから、悩んだときはなるべく友達に話すようにしています」
取材で答えに詰まると、思考をめぐらせ、言葉を手繰り寄せる。振る舞いの一つひとつに、誠実さがにじむ。
芸能界に入ってすぐ、スペシャルドラマで名もない少年役を演じた。その後も映画やウェブドラマなどさまざまな作品への出演を重ね、主演俳優として存在感を放つようにもなった。放送中のドラマ「いちばんすきな花」では、主演の一人として、イラストレーターの夢を追いかける青年を演じている。
役柄と自分を重ねるタイプではないというが、胸にすっと入るせりふがあった。
「『好きには確証がない』という言葉を最初に読んだとき、真理だなと思いました。好きなことを仕事にするって、そういうことだよなぁって」
どこか達観したように、そうつぶやいた。(編集部・福井しほ)
※AERA 2023年11月6日号