浅草ホッピー通りはたくさんの外国人でにぎわっている(撮影/上田耕司)

まるでフードコートのような感覚

 こんな“マナー違反”も聞いたという。

「10席しかないお好み焼き店で、4人の訪日外国人がやって来て、1枚のお好み焼きを4つに切って、分け合って食べる。それで長いこと居座るなど、マナーが理解できない外国人もいるみたいです」

 席を占有するのであれば人数分を注文するのがマナーだと、日本人だとわかるが、その感覚が希薄な外国人もいるようだ。これに関しては、マスターも苦い経験をしたという。

「中国系マレーシア人が家族6人で来て、おすしを食べたのは、小さい娘さんが注文した4貫だけ。両親はは自分のバックからメロンパンやおにぎりを取り出して、食べ始めたんです。こちらは6人分のお茶を出すわけだし、カウンター席しかないのに6席が埋まってしまう。さすがにこの時は声をかけて、母親と娘以外は出て行ってもらいました。たぶん、フードコートみたいな感覚でいるんでしょうね」

 また、予約が当てにならないことも外国人観光客が敬遠される理由の一つのようだ。浅草の居酒屋店主はこう言う。

「飛行機の到着が遅れたとかで、他のお客さんを断って待っていても、来ない。予約の時間を守ってもらえないことが続いたので、予約を取らないことにしました」

 もちろん、マナーを守って日本の食文化を楽しみたいという外国人も多くいるだろう。スナックという文化に溶け込んでもらうためにも、まずは常連客の日本人が、外国人をアテンドするところから始めるのが第一歩かもしれない。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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