浅草で50年以上続く「スナック豊」の三村豊子ママ(撮影/上田耕司)

 インバウンド需要の回復とともに、今、訪日外国人の観光スポットになっているのが「スナック」だ。外国のパブやバーとは違う日本独特の文化を持つスナックに訪日外国人は興味津々のようで、ツアーが組まれるほどの盛況ぶり。観光で訪れた外国人がスナックのカウンターに座っている風景も珍しくない。だが、スナックにはママと常連が作り上げてきた“文化”があるゆえ、急な外国人の増加に戸惑う店もある。東京・下町の門前仲町と浅草の繁華街でママたちの“本音”を聞いた。

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「日本特有のナイトカルチャー“スナック”が外国人観光客に人気」(FNNプライムオンライン、10月15日配信)

「ユーは何ゆえスナックへ? 外国人向けのスナックツアーが熱すぎる」(朝日新聞デジタル、10月21日配信)

 最近では訪日外国人のスナック人気を大手メディアも取り上げるようになり、スナックは観光スポットとして定着しつつある。

 だが、そこは食文化も食事のマナーも違う外国人と日本人。すべての店がウエルカムというわけではないようだ。

 東京・江東区の門前仲町駅の近くには「辰巳新道」という横丁があり、カウンターだけの小さなスナックや居酒屋が30軒ほど立ち並ぶ。店先には昭和レトロな芸能人のポスターが貼られていたり、築50年以上はたっていそうな木造建築が残っていたりするため、訪日外国人にも人気のスポットになっている。

 ここに店を構えるスナックのママに、訪日外国人の増加について話を聞くと、複雑な表情でこう話した。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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「魚、豆腐を出せ」