基本的に外国人の入店は断っているという「スナック豊」のママ(撮影/上田耕司)

ずっと居座ってウイスキー1杯

 浅草の国際通りからほど近い場所にある「スナック豊」。80代の三村豊子ママは福井県越前市出身で、一代でこの店を築き上げた。1人3000円もあれば飲める庶民的なスナックだ。豊子ママは「うちは、外国人が来るとこうやってするの」と手でバツをつくりながら、こう話す。

「もちろん外国人がみんな、マナーが悪いわけではないですよ。だけど、たとえば、うちは10席くらいしかないのに、店が混んできても席を詰めるという気配りがわからない外国人もいるし、ずっと居座って、ウイスキーの水割り1杯しか飲まない人もいる。だから、『ノーイングリッシュ』と言って、お断りしています。私は常連の日本人のお客さんを大事にしていきたい」

 一方で、客の5割以上が外国人観光客だという浅草のすし店のマスターはこう話す。

「ウチにはアメリカ、ヨーロッパ、北欧、韓国、中国、東南アジア、南米などさまざまな国からお客さんがやってきます。特にヨーロッパの旅行者は日本人に比べてゆっくりと食べるけど、本当に丁寧なジェントルマンな人が多いですよ」

 周辺のスナックが、外国人客を断ることもある現状についてはこう語る。

「浅草でも、外国人お断りのスナックや居酒屋は多いですね。浅草って小さい店が多いんです。親の代、祖父の代から引き継いでいる飲食店だと、やっぱり地元の常連さんを大事にしたいと考える。外国人をあんまり入れちゃうと、地元の人が入れなかったり、嫌な顔をされちゃうので仕方がない面もあるんですよ」

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予約の時間に来ない観光客も