例えば、年利5%のドル建て預金に100ドルを1年預けるケースを考えてみよう。
ドル・円レートを1ドル=150円とすると、100ドル預けるには1万5千円が必要だ。
仮に為替レートがこのまま同じ水準で推移すると仮定しよう。1年後に得られる利益は5ドル、日本円に換算して750円になる計算だ。
最初に預けた1万5千円は、1年後に1万5750円に増える。
これに対し、日本円で元本割れとならない為替レートの水準はいくらか。
結論から言えば、1ドル=142.86円前後だ(手数料などは含まない)。このレートが、はじめに預けた1万5千円を下回らない損益ラインになる。
風呂内さんは続ける。
「利率が高いように見えても、損益ラインは割と今と近い水準にあることが分かるでしょう。現在は米国もこれからどんどん金利を引き上げていく状況ではない一方、日本も緩和姿勢の修正が見込まれる段階にあり、日米の金利差はさらに広がっていくような状況ではありません。つまり、円高方向のリスクも踏まえておく必要があります」
風呂内さんは、外貨預金は「投資」として捉えるよりも、あくまで「預金」として位置づけるべきだと言う。
「その通貨が使われる国や地域への旅行や、支払いなどの必要があれば、比較的すぐに引き出せるメリットがあるので持っていても悪くはないと思います。しかし、そうした範囲を超え、投資として考えるなら注意が必要です。外貨建ての金融商品は株式や投信などほかにもいろいろあります。金利だけに惹かれて利用するのはおススメできません」
金融機関のホームページには前述の損益ラインなどを試算できる機能もあるので、利用を考えている人はまずは試してみるとよい。自分自身の懐事情や狙いなどもしっかりと見極めて利用するようにしよう。
(AERAdot.編集部・池田正史)