もし飯塚氏が持病の影響で事故を起こしたと正式に認められれば、パーキンソン症候群の患者さんについて、「車の運転の際にクリアすべき条件を法で定めるべきでは?」「アクセルとブレーキを手で操作できる車なら安全では?」といった議論に持っていける。国を動かすためには、公的な機関が認めた事例が必要なんです。
――裁判が終わったあとは、どのような生活を願っていますか?
交通事故をなくすための活動に集中して、穏やかに生きていきたいです。真菜と莉子が愛してくれた僕は、2人に怒ったことなんてない、穏やかな人間だったので。裁判中は、こんな怒りに任せた顔をしたくないってすごく葛藤していたんですけど、争いが終われば、やっと2人が愛してくれた自分に戻れるかなと思います。
ただ、僕のすべての行動の根底にある、「2人の命を無駄にしない」という気持ちは、今後も絶対にぶれません。SNSでの発信をふくめた交通事故撲滅の活動は、体力が続く限りやめるつもりはないです。
(AERA dot.編集部・大谷百合絵)
※後編<「クルクルパー」「金が欲しくて提訴を遅らせた」… 交通事故被害者が損保側から吐かれる“心ない言葉”の数々>に続く