ただ、私が所属している関東交通犯罪遺族の会(あいの会)の代表からは、「裁判には出ないほうがいいかもしれない」と言われました。賠償内容を争うなかで、加害者側の損害保険会社の弁護士から、心ない言葉で傷つけられる遺族は多いからです。でも、そのような“二次被害”が横行しているならなおさら、この目で、この身をもって、体験しなきゃいけない。それで本当にひどいと思ったのならば、現状を変えるために行動しようと決めました。
弁護士にブログを引用された
――裁判では、どのような二次被害の実態があったのでしょうか?
一番傷ついたのは、加害者側損保の弁護士が、僕が以前ブログに書いた内容を引用して、「松永は刑事裁判を早く終わらせたいと言っていたから、民事裁判も早期に終わらせるべきだ」という旨の主張をしたことです。刑事裁判のときに書いた「こんな何も生み出さない無益な争い、もう辞めませんか」というメッセージは、あくまで飯塚氏に向けたもの。事故の真相究明のために起こした民事裁判を、早く切り上げたいなんて思うはずないのに、当時の自分の思いをねじ曲げて利用されました。
そんな何の根拠もない主張は裁判で有利にならないし、被害者をいたずらに傷つけるだけです。ブログを引用した理由を裁判上で説明してほしいと、損保会社に書面で伝えましたが、いまだに返答はありません。