事故が起きた2019年4月のまま壁にかかっているカレンダー。事故4日後の23日には、「16:00 イングリッシュ!」の文字が。「莉子は、真菜に似て頭がよかったんです。街で駐車場の“P”の文字を見つけたら、どこで覚えたのか、『お父さんお母さん、あれピーでしょ?』って。それで、『今度英語教室行ってみようね』って言ってた矢先に……。自分だけ日が進んでいくのがつらくて、カレンダーをめくれないんですけど、いつかはちゃんとしないとね」(松永さん)(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

 実は事故以来、飯塚氏からは何度も謝罪依頼が来ていたのですが、断り続けていました。だって、彼は「事故が起きたのは車のせい」と主張しているのに、謝る意味がわからないから。

 でも、刑事裁判が終わってもなお謝罪をしたいというなら、きっと本心なんだろうと信じたんです。民事裁判はまだ続いているけど、賠償金を払うのはあくまで保険会社で、裁判の結果は彼自身の利害に結びつかない。ご高齢の彼が収監される前に謝罪できたら、彼にとっては何か救いになるのかなと思って。

 それで、覚悟をきめて、受けることにしました。ただ、本心から謝罪をしたいなら民事裁判の中でする必要はないので、「裁判の場でなければ謝罪を受けます」と伝えたら、「それなら謝罪はしない」と言われました。

 もう意味が分からないですよ。そんなこと考えたくないですけど、「保険会社から、民事裁判を有利に進めるために謝ってほしいと頼まれたのか?」なんて、つい邪推してしまう。終始振り回されて、心をかき乱されました。

裁判所に認めてほしいこと

――判決を前にした、今の気持ちをお聞かせください。

 事故から4年半続いた戦いが、やっと終わるんだなと。加害者がしっかり裁かれて、損害賠償がなされることは遺族にとって必要なことですが、正直、争いごとはもうこりごりです。

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刑事裁判の判決で感じた「むなしさ」