今年春の各大学の就職状況が明らかになった。コロナ禍の時期には控えられていた対面イベントが各地で復活した今年、インターンと就活の早期化がますます進んでいる。AERA 2023年10月23日号より。
【表の続き】人気企業110社が採用したい大学は? 就職数はこちら(全9枚)
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「焦って来ました」
今月上旬、マイナビ主催「理系学生のための仕事研究&インターンシップフェア」を訪れた都内の私立大学3年生の男性は、そう本音を漏らした。
同じ大学3年生のなかには、夏休みにインターンの予定を詰め込んでいる人がいる。それに比べて、自分は3社の5日間のインターンに応募して、すべて落ちた。
「対面のイベントが増えると判断材料が増えるのでありがたいのですが、就活の方向性もまだ定まっていないのに、もう動かないといけないのかって」(男性)
大卒の就職状況は、コロナ禍に求人倍率が急落したものの、盛り返し、再び売り手市場になっている。2023年3月卒(現・社会人1年目)の大卒求人倍率は、前年と同水準の1.58倍だったが、24年卒(現・大学4年生)は1.71倍にまで上昇し、コロナ禍以前の水準に戻った。
そして、採用選考は年々早期化している。政府が要請するルールでは、会社説明会は大学3年の3月からとされているが、その時点ですでに内定をもらっていた24年卒は32.4%で、2年前の同時期に比べて10ポイント以上も増えた(就職情報会社ディスコの調査)。採用選考の「解禁」とされる大学4年の6月時点の内定率は、じつに7割以上という調査結果もある。
DX人材の争奪戦
就活のトレンドを見てみよう。アエラは大学通信の協力を得て、23年3月卒の51大学の学生が、人気企業110社に就職した人数をまとめた。
大学通信の情報調査・編集部部長の井沢秀さんは言う。
「DX(デジタルトランスフォーメーション)人材の争奪戦になっています」
IT企業だけではなく、商社でも証券会社でもDXを進めるためにIT人材は引く手あまた。なかでも、学生に注目されているのは、コンサル会社だ。経営戦略だけではなく、現場のDX支援もする。井沢さんは言う。