「MVPには村上を挙げたいですね。村上はキャンプでも注目されてはいませんでした。しかし、お試しのような形で巡ってきた最初のチャンスをものにします。アウェーの東京ドームで普通は緊張でバタバタするのに、7回まで1人の走者も出さなかった。次の試合も完封ですから本当にすごいと思います」

 抜群のコントロールと自然にスライド回転する直球“真っスラ”が最大の武器。ピンチにも真っ向勝負を挑む強気のピッチングが光った。

 CSに向け、阪神ファンの不安は、初めてフルシーズンを戦った村上と大竹の疲労度だろう。岩崎が10月に防御率16・20と打ち込まれたのも気になるが──。

「村上と大竹もCSまで休めるので回復できます。岩崎も(打ち込まれたのは)優勝を決めた後なので、まったく心配することはないですね」

岩崎優(いわざき・すぐる)/防御率1.77。35セーブで初のセーブ王に輝いた10年目の左腕。試合後のヒーローインタビューでの棒読みが「塩対応」と人気に

 オリックスの中嶋聡監督とも身近に接してきたのが能見さん。少々気は早いが、日本シリーズについても聞いてみた。

「両監督とも勝負師です。僕らの考えている枠を超え、何をしてくるかわからないところがある。投手とディフェンス力では似たチームですが、打順を固定した岡田阪神と、柔軟に打順を変えた中嶋オリックスというのが違いです。短期決戦でどういう戦い方をするのか楽しみです」

 その前に、まずはCSの関門を突破しなければならない。(ライター・守田直樹)

AERA 2023年10月23日号より抜粋

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